とある整数論の問題と、その鮮やかな解法
次の問題は1984年にハンガリーのとある数学コンテストで出題されたものです。
問題. を正整数とする。どんな素数についてもをで割った余りがをで割った余り以下であるとき、を示せ。
これはもともとPálfyという数学者が予想し、ErdősがSylvester-Shurの定理から従うことを指摘したという経緯があります。しかしこれを数学コンテストに出題したところ、Szegedyという学生が簡潔でself-containdな解法を発見しました。その後、彼ら3人はその解法を共著論文にまとめています。今回はそのエレガントな解法を紹介したいと思います。
以下をで割った余りをと書きます。
問題の解答. と仮定する。まずを十分大きくとることでがわかる。さらにをに変えても仮定は保たれるから、最初からとしてよい。
と置く。またをそれぞれの因子(掛けられている個の数)のうちで割れるものの個数とする。すると
ここでの因子はどちらも個の連続した自然数だからがわかる。さらにの因子を大きい方から順に見ていくと、問題の仮定よりの因子の方が先にで割れるからである。とくにならばである。ゆえに上の式は
となる。となる最大のをと置くと上の指数部分は
と評価できるから
変形すると
となる(両辺は整数になっている)。左辺分子の因子のうち約分されるものは高々個(は以下の素数の個数)なので
一方右辺分子の因子はちょうど個約分されるので
よって.これは最初に課した仮定に矛盾している。よってが示された。
まさに見事な証明と言うほかありません。この証明を部屋に飾って眺めていたいくらいです。 いつかこんな証明がしてみたいですね。