等辺多角形と代数的整数
今回は次の面白い定理を証明します.
証明には次の事実を用います.
補題(Kronecker).代数的整数に対し,その全ての共役元の絶対値が1ならば,は1の冪根である.
証明.の上のモニック最小多項式を]とすると,の次数はの次数以下であり,またの根の絶対値は全て1なので,三角不等式よりの係数の絶対値は二項係数で上から評価される.よっては有限集合であり,その根であるも有限個の値しかとらない.
定理の証明.一般性を失わず辺の長さを1としてよい.番目,番目の頂点がそれぞれに来るように,多角形を複素平面上に配置する.仮定より番目の頂点はいくつかの1の冪根の和として表され,またである.特にはある円分体の代数的整数である.の作用は複素共役と可換なのでの共役元は全て絶対値が1であり,上の補題よりは1の冪根であることが従う.これが示したいことであった.