素数の無限性の一風変わった証明
素数が無限に存在することはもはや人類の常識と言えますが、その証明を沢山知っている人は少ないように感じます。
私は証明そのものを鑑賞するのが好きなタイプなので、以前からずっと素数の無限性のオリジナル証明を作れないかと考えていたのですが、この間ついに組み合わせ論的な証明を思いつきました。組み合わせ論の最も美しい(?)定理の一つ、Van der Waerdenの定理を使う証明です。
この定理の証明は以下の記事などに紹介されています。
しかし残念なことに、関連するキーワードで検索したところ、私の考えたものとほぼ同じ証明が既に別の人(L. Alpoge氏)によって発表されていました。しかも私の証明には穴があって、彼の論文ではそれが埋められていることにも気づきました。数学の世界は厳しいですね!
そういうわけで悔しいのですが、せっかくなので今回は彼の証明を紹介したいと思います。今回の記事では正整数が素数で割れる回数をで表します。
証明. 素数が有限個だったと仮定すると、正整数全体を「素因数に現れる素数の種類とそれぞれの指数の偶奇」を色として塗り分けることができる。どの素数の2乗よりも大きい正整数をとると、Van der Waerdenの定理よりという同色の等差数列が存在する。このときの任意の素因数についてだから。
(1) とするとなので、とでの指数の偶奇が等しいことから。このときとなって、とが同色であることに矛盾する。
(2) とすると, (はと互いに素)と書ける。でのの逆元*1 をとり()と置くと
なので
となり、とが同色であることに矛盾する。
以上からなので。これが任意のについて成り立つのでとなり矛盾する。ゆえに素数は無限個存在する。
綺麗な証明かと言われれば微妙ですが、これはこれで面白い気がしませんか?
*1:なる数