フィボナッチ・フリーク

数学の小ネタ集。

Fibonacci素数とF-完全数

完全数とは「自分自身以外の約数の総和が自分自身になる」ような正整数のことで、6,28,496,8128,\cdotsと続きます。

これの仲間として「自分自身以外の約数の2乗和が自分自身の3倍になる」ような正整数を「F-完全数」と呼ぶことにしましょう。最初の3つのF-完全数

10\to 1^2+2^2+5^2=30=10\times 3\\65\to 1^2+5^2+13^2=195=65\times 3\\20737\to 1^2+89^2+233^2=62211=20737\times 3

となります。

ところでこれらの数の約数を眺めていると不思議なことに気がつきます。そう、2,5,13,89,233は全てFibonacci数になっているのです。

種明かしをすると、実は次の定理が成り立つのです(Cai-Chen-Zhang,2015)。

定理. nがF-完全数である必要十分条件は、共に素数である2つのFibonacci数F_{2m-1}, F_{2m+1}を用いてn=F_{2m-1}F_{2m+1}と表されることである。

これを証明するためにLucas数について簡単な性質を確認しておきましょう。Lucas数とはFibonacci数の仲間で、L_1=1,L_2=3,L_{n+2}=L_{n+1}+L_nで定義されます。一般項を求めると次のようにまとめられます(証明略)。

またFibonacci数との間には以下の関係があります。

これは帰納法により簡単に示すことができます。

それでは定理を示しましょう!

定理の証明. nの約数が5個以上あったとし、小さい方から2つめ,3つめのものをd_1, d_2とすると、相加相乗平均の不等式より

1^2+d_1^2+(n/d_1)^2+d_2^2+(n/d_2)^2\geq1+2n+2n=1+4n

となり不適。逆に約数が3個以下でも明らかに不適。ゆえに約数はちょうど4個なので、n=pqまたはn=p^3p,q素数)と書ける。後者の場合約数の2乗和は1+p^2+p^4\gt p\cdot p^3となるからp\geq3では不適で、p=2でも成り立たない。よってn=pqとなる。

このとき満たすべき方程式は1+p^2+q^2=3pq\Leftrightarrow (3p-2q)^2-5p^2=-4と変形できる。これはPell方程式だから解は

(3p-2q,p)=(L_{2m+1},F_{2m+1})

と書くことができる(Pell方程式については過去記事「奇跡の楕円曲線と144」内のリンクを参照)。補題と漸化式より

q=\dfrac{3F_{2m+1}-L_{2m+1}}{2}=\dfrac{2F_{2m+1}+F_{2m+1}-F_{2m+2}-F_{2m}}{2}\\=\dfrac{2F_{2m+1}-2F_{2m}}{2}=F_{2m-1}

となるからn=pq=F_{2m-1}F_{2m+1}と書ける。逆にこの形ならばF-完全数であることも上の式変形を逆にたどれば示される。~~~\square

ちなみにF-完全数が無限に存在するかどうかは未解決問題です。というのも、そもそもFibonacci数に素数が無限個存在するかが未解決だからです。なんとか私が生きている間に解決されてほしいものです。