バーゼル問題の二重対数による解法
バーゼル問題とはの値(
)を求める問題で、当ブログでは以前Calabiによる短い証明を紹介しました。
fibonacci-freak.hatenablog.com
今回はこのバーゼル問題の、二重対数関数(Dilogarithm)という不思議な関数を使った解法を紹介します。
二重対数関数とはで収束する級数
で定義される関数です。今回求めたい級数は
と書くことができます(厳密には
の極限)。よく知られた
の級数展開
が得られます。被積分関数はを除いて一価正則に定義できるので、その領域内での線積分によって逆に
を定めれば定義域を
に延長(解析接続)して考えることができます。以下この延長を考えます。
さて、この関数の性質を見ていきましょう。
命題1. 
証明. 級数表示より これを移項すればよい。
命題2.
に対し、
証明. 左辺を微分すると
これは右辺の微分に等しいから両辺の差は定数である。の極限を考えると両辺ともに
となるので一致することがわかる。
いよいよ本題のバーゼル問題です。
定理. 
証明. 命題2においてから近づくように
の極限をとると
これと命題1を合わせれば
解析接続して函数等式を利用するという手法の強力さがわかる、見事な証明ですね。