フィボナッチ・フリーク

数学の小ネタ集。

Fibonacci Freak

【解決編】平面上の凸図形に含まれる多角形の面積

前回の記事で,次のような問題の解答を募集しました. 問題.平面上の凸図形に対し,「に含まれる角形の面積の最大値をの面積で割ったもの」をと書く.を動かしたとき,のとりうる値の最小値は何か? fibonacci-freak.hatenablog.com これについてある方から…

【解答募集】平面上の凸図形に含まれる多角形の面積

追記:解決したので「解決編」を書きました. fibonacci-freak.hatenablog.com 私は今(2017年12月5日現在),こんな問題を考えています. 問題.平面上の凸図形に対し,「に含まれる角形の面積の最大値をの面積で割ったもの」をと書く.を動かしたとき,の…

格子立方体の一辺の長さとWittの消去定理

格子点(座標が整数の点)を結んでできる図形は面白い問題の源泉です.今回は格子点を結んでできる立方体について考えてみましょう.まず次元の格子立方体を厳密に定義します. 定義.次元空間の格子点を頂点とする次元立方体を格子立方体という.ただし立方…

USAMO2008第6問と有限体上の線形代数

USAMO(アメリカ数学オリンピック)の2008年大会では,第6問として次のような問題が出題されました. ある数学の会議において,どの2人の数学者も友達かそうでないかのどちらかであるとする.参加した数学者全員は二つの大きな部屋のいずれかで夕食を食べる…

定規だけで円に接線を引く

平面上に円が描かれており,その周上の一点が指定されているとします.でこの円に接する直線を,定規だけを用いて作図することはできるでしょうか? この問題には面白い解答があります. まず円周上に以外に4つの点をとります.これは好きなようにとって構い…

ChompゲームとHilbertの基底定理

今回はChompというゲームに関する小ネタです. Chompは石を使って2人で遊ぶゲームです.石をに並べます.プレイヤーは図のようにある1つの石を選んで,そこより右上にある石を全て取り去ります.これを交互に繰り返して,一番左下の石を取った方が負けです.…

ベン図とグレイ符号

領域が4個のベン図を描きたい! というのは誰もが一度は考えることだと思います(?)。しかし普通に描いてみると通りすべての組み合わせができなかったり、同じ組み合わせの場所が2つできてしまったりと、なかなかうまくいきません。 そこで今回は、領域が…

不思議な確率論

※今回の内容は箱(@o_ccah)さんから教えていただきました。 問題です。 平面上に10個の点を書きます。このときどんな書き方をしても、交わらないいくつかの単位円板で全てを覆うことはできるでしょうか? いくつか具体的にやってみると(コインなどを使って…

勝敗が周期34で変化するゲーム

先日、いつものように夜眠れずに布団の中で数学のことを考えていたところ、ふと面白いゲームを思いつきました。 ルールは簡単です。のマス目に2人で交互にのタイルを置いていきます。タイルは重なってはいけません。先に置けなくなったプレイヤーが負けです…

ζ(2,1)=ζ(3)の2通りの証明

今回の登場人物は次の2つの実数です。 , . は有名なAperyの定数という無理数です。一方での方は初めて見た方も多いかもしれません。これは多重ゼータ値と呼ばれる実数の族のうち最も単純なものです。 さて、冒頭に「2つの実数」と書きましたがこれは厳密には…

Gilbreath予想

たまには合コン受けする(?)タイプの小ネタを紹介したいと思います。 数学の未解決問題は山ほどありますが、中でも「マジかよ」感が高いものとしてGilbreath予想というのがあります。 予想の内容は小学生でも思いつきそうなほど簡単です。まず素数を小さい…

HEXは先手必勝である

// HEXは以下の記事で紹介したボードゲームです。 fibonacci-freak.hatenablog.com 実はHEXは先手必勝であることが知られています。このこともまた、ゲームの考案者の1人であるNashが証明しました。 しかもその証明法はあまりにも意外です。ふつう先手必勝と…

HEXの定理(2)

この記事は以下の記事の続きです: fibonacci-freak.hatenablog.com さて、前回はHEXの定理とBrouwerの不動点定理が実は同値であるということを紹介しました。今回はその証明を書こうと思います。それぞれのステートメントを確認しておきましょう。 定理(HEX…

HEXの定理(1)

HEXというボードゲームを知っていますか? 1940年代に作られたゲームなのですが、最近はスマホのアプリにもなっているようです。私が高校生の頃はよく同級生が遊んでいました。 HEXは六角形のタイルが敷き詰められたひし形の盤で遊びます。2人で交互にタイル…

痩せた集合・太った集合

私は痩せています。どのくらい痩せているかというと、アスパラぐらいです。 実は数学には「痩せた集合」という概念があって、私はだいぶ親近感を持っています。今日はその痩せた集合について書きたいと思います。 まずは痩せた集合の定義をしましょう。 定義…

自作数学パズル保管所を開設しました

実は私は最近数学パズルを自作するのにハマっており、時々Twitterなどで出題しています。しかしTwitterではすぐに過去の問題が流れていってしまい、後から見つけるのが大変です。そこで自作パズルを別のブログにまとめておくことにしました。 parabolic-puzz…

素数の無限性の一風変わった証明

素数が無限に存在することはもはや人類の常識と言えますが、その証明を沢山知っている人は少ないように感じます。 私は証明そのものを鑑賞するのが好きなタイプなので、以前からずっと素数の無限性のオリジナル証明を作れないかと考えていたのですが、この間…

格子点を2色で塗り分ける問題

先日、Twitterで次のような問題を見かけました。 問題. 平面上の格子点(座標が整数の点)を2色で塗り分ける。どのように塗っても、辺が軸に平行で4つの頂点が同色の正方形が存在することを示せ。 その日の夜ベッドで考えながら寝たところ、朝起きて5分ほど…

グラフと素数:Erdős-Evansの定理

からまでの整数から相異なる数を取り、「がと互いに素ならを結ぶ」という規則でたちを頂点とするグラフを作ってみましょう。例えばとしてを選ぶと下のようなグラフが得られます(小さい数字は)。 グラフをこのような方法で作ることができるとき、はで表現可…

2^n+1を割り切る素数の密度は17/24

という数列を考えましょう。 これは全て奇数ですからの倍数は登場しません。の倍数は上の列に出てきていますね。しかしの倍数は見当たりません。実はこの列にはの倍数は現れないのです。これはが と循環し、が現れないことからわかります。 では、の素因数に…

とある整数論の問題と、その鮮やかな解法

次の問題は1984年にハンガリーのとある数学コンテストで出題されたものです。 問題. を正整数とする。どんな素数についてもをで割った余りがをで割った余り以下であるとき、を示せ。 これはもともとPálfyという数学者が予想し、ErdősがSylvester-Shurの定理…

Fibonacci素数とF-完全数

完全数とは「自分自身以外の約数の総和が自分自身になる」ような正整数のことで、と続きます。 これの仲間として「自分自身以外の約数の2乗和が自分自身の3倍になる」ような正整数を「F-完全数」と呼ぶことにしましょう。最初の3つのF-完全数は となります。…

Fibonacci数の逆数和は無理数である

【注意】この記事には横に長い数式が多く含まれます。小さい端末では画面を横向きにすることを推奨します。 皆さん、Fibonacci数は好きですか?好きですよね。私も大好きです。 今回は21世紀に生きるフィボナッチ・フリークなら必ず一度は証明を読んでおきた…

あるサイズの巡回置換だけで任意の置換を作る

任意の置換は互換の積に表すことができます。では同じように、3元の巡回置換(は相異なる)だけを組み合わせて任意の置換を作ることはできるでしょうか? 答えはNoです。(置換は右から合成する)と書けるので、3元の巡回置換は偶置換です。偶置換の積は偶置…

振り子の幾何学

振り子に勢いよく初速を与えると、跳ね上がって糸がたるむことがありますね。 このとき、「糸がたるみ始める地点」と「球が落下して糸がピンと張る地点」の間には綺麗な関係があります。実は鉛直上方向から角度を測ると、角度の比(図の)は必ずになるのです…

根心の存在が自明に思える図

を中心とする3円が互いに2点ずつ()で交わっている状況を考えます(下図)。このとき3本の直線は一点で交わります。これを3円の根心と言います。 さらっと書いてしまいましたが、本当に一点で交わるの?と疑問に思われる方も多いでしょう(私も初めて聞いたと…

奇跡の楕円曲線と144

私が最も好きな不定方程式の一つに、次のものがあります。 いわゆる楕円曲線の一種です。この方程式の整数解は全部でいくつあるでしょうか? まず方程式の形からがわかります。順に試していけばすぐにという解が見つかります。ここから先はなかなか解が現れ…

石取りゲームとFibonacci数

2人で次のようなゲームをします。 石が個積まれている()。交互に1つ以上の石を取り去り、最後の石を取れば勝ちである。ただし次のルールを守らなければいけない。 (1) 先手は最初に全ての石をとってはいけない。 (2) 相手が直前に取った石の数の2倍より多く…

バーゼル問題の二重対数による解法

バーゼル問題とはの値()を求める問題で、当ブログでは以前Calabiによる短い証明を紹介しました。 fibonacci-freak.hatenablog.com 今回はこのバーゼル問題の、二重対数関数(Dilogarithm)という不思議な関数を使った解法を紹介します。 二重対数関数とはで収…

完全有向グラフはハミルトンパスを持つ

頂点の完全グラフの各辺に向きが与えられたものを頂点の完全有向グラフといいます。例えば下の図のようなものです。 実は完全有向グラフには必ずハミルトンパスが存在します。ハミルトンパスとは全ての頂点を1回ずつ通る道のことです(閉路でなくても構いま…